日記・コラム・つぶやき

2015年12月 8日 (火)

 『 偵察の先に 』

 スターフリート☆ベガ 次元航路 復活篇(2014.08.15)掲載

方舟以降、ヤマトな動きが少ない昨今。あの時の盛り上がりを思い出しながら、思い立ったようにUPです(*^.^*)

バラン星での偵察飛行で大活躍した篠原くん。いっぱい頑張ったよね。良いことなくっちゃネ♪

篠原くんの想いを綴ってみたお話です。時間系列に難アリですが、そこは大目にお見過ごし下さいませ~~ヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ

 

        『 偵察の先に 』                 

トレイを持つと片手じゃあ何も出来なくなるんだけれど、ここじゃあそんな心配は皆無みたい。
にこにこしてれば、あっという間に希望のランチが揃って、おまけに席までエスコート?
(お嬢さま方、それは逆ですよ)と思いながらも、有り難くお受けする。怪我した左手の不自由さをあまり感じずに済んでいる。


「しのさん、モテ期?」
食堂で先にランチを頬張っている沢村がニヤニヤしながら話しかけてくる。
バラン偵察から還ってからこの方、自慢する訳ではないけれど、自分でもそうかな?って思えるほど。
まあ、あれだけ頑張ったんだからご褒美ってことなのかも?って。

沢村の隣に並んで腰かけて、一口頬張った途端 「旨い!」って声を上げてしまった。
平田さん、腕上げた? あ、でもこれオムシスだっけ?
怪我したのが利き手でなくて、ほんと良かったよ、と思いながら、綺麗な箸使いで一番人気のランチを頂く。


「偵察ってさあ…」
沢村が女の子たちを前に得意そうに話している。

偵察って結構、過酷な任務なんだぜ。沢村くん、ポイント分かってる?ってちょっと解説したくもなる。
目標に近付きデータ収集をするためには、かなりのテクニックが必要。
高速で正確に、しかも発見され難いような飛行をし、万が一、敵に迎撃された際は、それを回避するための素早い判断と機動性が求められる。
何よりも大切なのは、生還しなければ意味がない。
まさに、沢村が口にした『偵察は戻ってくるのが任務』の言葉が全てを言い表している。


「はい、そこテスト出るよ!覚えておくように!」って お道化る沢村に、目をキラキラさせながら聞き入っていた女の子たちが、どっと歓声を上げる。


確かそろそろ交代の時間じゃないかな? って、食堂の入り口に目を向けてみる。
あ、ほら来た。相変わらず仲良いねーー
長い髪のイスカンダルの皇女と、青い肌のライバルと共に、航空隊紅一点の華がやって来るのが見えた。三人で楽しそうにパフェを注文している。
今でこそ、こんなに素敵に笑うけど、ヤマトで出会った頃は、いつも張り詰めた顔をして、何かに怒っていて、笑った顔なんて見たことがなかった。

主計科から航空隊に転属した経緯なんて、大した行動力だって感心したものだ。
操縦の腕は確かさ。ゼロの機体も合っていると思う。 クールビューティって気にする奴も結構いる。
オレだって、結構アピールしてたと思うんだけど、あいつの視線の先には、いつもオレとは違う奴がいた…
あの時だって、とんだとばっちりを受けてさ。
ゼロから突き落とされたんだ。いきなりだったから、受け身をとる余裕もなくって、したたかに打ってさ。
痛かったよーー。涙出そうなくらいに。 暫く、青くなってたもんな。言えないところがね。


あれは、色んな意味で痛かったな…


オレ、今、モテ期のようだけど、叶うならこの想いをただ一人に届けと。
病室で目覚めた時の、あの「笑顔」は、脈ありって思って正解だよね?と、希望的な観測をしてみる。
オレって気は長い方だから、ずっと見守って行くさ。


では、パフェの偵察に行ってみますか?
『偵察は成果を上げて戻って来るのが任務』
作戦(ミッション)成功を祈って、いざ、いかん!                   

                      ・・・END

2015年8月25日 (火)

『 Blue Moon 』 オリジナルヤマト妄想話

宇宙戦艦ヤマト・ブラックタイガーチーム 加藤隊長、山本明くんの月面基地赴任直前のお話です~

 

       『 Blue Moon 』

グッと操縦桿を引く。
メインギアである後輪が接地。機体前方は軽く上向き、滑るように滑走した後、ノーズギア・前輪も地を捉える。
舞い降りるの言葉が相応しい見事なタッチダウン。
機体を誘導員の指示に従って所定のスポットに停止し、エンジンカット。

「加藤隊長。お疲れ様でした」
「おう」
誘導員の労いの言葉に軽く手を上げ応える。

「良い風だ・・・」
ステップに脚を掛けながら、その心地良さに目を細める。
ふと、気配を感じて空を見上げると、暗い夜空にそこだけ灯りが灯ったように雲の切れ間から、ぽかんとまぁるい月が顔を出していた。

「もうすぐ、あそこに行くんだなぁ」
誰に言うでなく独りごちてみる。

「いつになくセンチだなぁ」
突然掛けたれた声に振り向くと、ヘルメットを肩に担ぎ、すらりとした長身を黒いパイロットスーツに包んだ、山本の姿があった。
ついさっき迄、空で共に対戦し合ったばかり。お互いに珍しく熱の入った訓練になったのは、これから先の向かうべき、彼の地への想いの表れかとも思う。
不安がないと言えば嘘になるが、これからの責務を考えると「やるぞ!」との想いの方が遥かに強い。

お互い何とはなしに並んで草地に腰掛け、月を見上げた。いつの間にか雲は晴れ、明るい満月が辺りを煌々と照らしている。
ヤマトがイスカンダルへの航海の使命を果たし、地球が元の青さを取り戻して間もなく一年。都市の再生は目まぐるしいものがあり、そのスピードには圧倒された。その技術とパワーで月にまで基地を作っちまうんだから大したものだ、と感慨深くもあった。2つのそれぞれの基地の航空隊長として、オレたちはまもなく月に赴く。

初めての航海。
14万8千光年先のイスカンダルを目指したあの時、山本は窮死に一生を得た。

「あン時のような不様な事は二度としない!」
ワープテストの話を振られる度に、苦虫を噛み潰したような顔付になる。

でも、皆、分っているさ。
お前だから還ってこれたって。

物資だってかき集め、整備だってままならず、テスト飛行をしながら戦闘に参加していたようなもの。宇宙での戦闘だって、正直ぶっつけ本番、出たとこ勝負の危うさだった。
今振り返れば、それしかすがる術はなく、皆がただただ必死だった。地球を救う一念に、生きて使命を果たすべき、皆が真剣に己の生命を掛けていた。
そんな戦火を共にくぐり抜けてきたオレたちの絆は何よりも固い。
山本になら、背中を預けられる。安心して後ろを任すことが出来る相棒だ。

「あっち(月)に行ったら、お互い新入りを鍛えて対戦しようぜ」
「おう」
と短く応えた山本の目は、いたずらっ子のように愉しそうにニヤリと笑った。

今月2回目の満月、ブルームーンの月明かりに照らされながら未来を想った。
この平和はオレたちが守る。いつまでも続くように、と。

                            ・・・ END

2015年8月17日 (月)

『 君の名は・・・ 』 2199ヤマト

スターフリート☆ベガ 『次元航路SBY』平成26年10月19日発行に寄稿。
少しばかり加筆・修正あり。
あくまで妄想だから~~ってことで温かい目でお見過ごし下さいネ~


 

    『 君の名は… 』                
                 

「 ~♪ 」
「いがさん、ご機嫌だね」

イスカンダルへの未知の航海へと旅立ったヤマト。その艦内、航空隊控室で沢村が五十嵐に声を掛ける。
「明日の赤道祭迄に仕上げたいからね」
と答える五十嵐が夢中になっているのは、バレーボール程の大きさの青い地球の3Dパズル。細かいパーツを組み合わせて器用に仕上げていく。暇をみて少しずつ時間を掛けて組み立ててきたのが「あと少しで完成だ!」と作業ピッチも上がっていく。
戦闘がなく非番時には、トレーニングで汗をかいた後、控室に三々五々集まり思い思いに過ごして緊張を解す。一度飛び立てば緊張の連続の彼らにとって、心の緩急の切り替えは重要であり、こういうリラックス出来る時間は、とても大切なものであった。
そんな平和な時間の中、その傍らで何人かが車座になって談笑している。

「オレさぁ、この前ひとっ風呂浴びようと風呂に行ったら、中に女の子がいたんだよ」
西川の唐突な言葉に
「男湯に!?」「まさか!?」と訝しながらも皆の眼が輝く。
「オレだって目を疑ったよ。前髪長くって色っぽくてさ
・・・でもなあ 」とニヤリと笑う。
「男だったんだよ、そいつ!」
「なんだそりゃ?」「誰だ!?」「早く教えろ!」
の言葉に、もったいぶったように答える西川。
「皆もよく知ってる奴だぜ。・・・ そいつは、さ・わ・む・ら!」
「沢村っっ!?」
思いがけない名前が上がり一斉に驚きの声が上がる。
「 呼んだ??」
きょとんとした顔付きで呑気に振り向く沢村に、皆の眼が集中する。そして、マジマジと見詰めた後、大工原がポツリと呟く。

「おまえ、赤道祭で女装してみない?」

「な!?なんでオレが!?」慌てふためく沢村。
「いいじゃん。祭りの余興だ」「上官の命令が聞けないというのか!?」なんて云われても、沢村にとっては知ったことではない。
「無茶な命令には反対する権利がある!!」
あまりの話に必死に抵抗する沢村の、思わず振り上げた腕の位置が悪かった。
皆に見せようと嬉しそうに運んで来た、五十嵐の完成した地球パズルに、沢村の腕がモロに直撃!?

「☆*Ω△×!!??」

五十嵐の言葉にならない叫びが上がる。
「うあっ!!ごめんなさい!!」咄嗟に謝る沢村の声も、五十嵐の耳には空しく響くのだった・・・


航空隊控室横のシャワールームから現れたのは、黄色も鮮やかな船務科の柏木紗香。そして彼女が伴って現れたのは、 フリルとレースがふんだんにあしらわれパニエに因ってふんわりとスカートが広がった水色のドレスを纏った、栗色の柔らかい巻き毛の可憐な美少女。恥ずかしそうに俯く姿は初々しくも愛らしい。
皆が、ほーーっと感嘆の声を上げる。

「絶対に嫌だ!!オレより保安部の星名にメイド服でも着せればいいじゃん!!」
「あれは管轄外だ」と却下されながらも、必死に抵抗する沢村であったが、手塩に掛けて作り上げたパズルを一瞬で破壊された五十嵐の怒りは収まらず、ついに撃沈され、柏木の手によって可憐に変身を遂げたのだった。
極秘任務を任された柏木は、化粧映えによるその出来に「我ながら上出来♪」と満足するのだった。

「あれは誰?」

見たこともない美少女を連れて赤道祭のパーティーに現れた五十嵐は、男性クルー達の羨望の的となる。
暫くの間、得意げに沢村を連れ回していた五十嵐であったが、
「ねえ、いがさん。虚しくない?」
沢村に言われ周りを見回す。

可愛いメイドさんと仲良くやっている、托鉢僧姿の隊長。
大工原のダンナまでが、黒猫ちゃんと和気あいあいとツーショット写真を撮っているのを見て「そうだよな。可愛いけど、こいつ沢村なんだよな」って我に返る。
「わかった・・・ もう、いいや」五十嵐のため息と共に解放される沢村。
やれやれと独りになった途端、

「ね!君、写真撮らせて!」

返事をする間もなく、航海科の太田がパチリとシャッターを切る。
「あ!困ります!」
こんなあられもない姿を晒すなんてとんでもない!沢村はハスキー声を上げて大慌てで逃げて行く。
「待って!!」の太田の声を無視し、可憐な姿からは想像も出来ない足の速さで、どんどん遠ざかって行く。
「追い付かねぇ…」と残念そうに見送るしかない太田。

後日、太田は写真を手に件の美少女を探し回るが、何処に行っても誰も知らず、何か知っていそうな航空隊の連中も、写真を見るとプッと噴き出すのだが、上手くはぐらかされ、結局なんの情報も得られない。
「君はいったい誰?好みなんだけどなぁ…」ってため息をつくのだった。

事の発端、件のパズルは壊れたままでは縁起が悪いと、有志総がかりで、あっと言う間に仕上げて元通り。五十嵐の怒りもやっと静まったのだった。

そして、写真の君は太田にとって
「君の名は…?」って永遠の夢の君となるのであった。

                                                             …END

2015年7月31日 (金)

今夜はブルームーン

ひと月の間に2回満月がある場合、2回目の満月をブルームーンと呼ぶことも。
今夜は、南東の空に昇る満月・ブルームーンが観られる貴重な機会。

2012年以来、3年ぶり。次回は、3年後、2018年の1月。

  once in a blue moon

今宵は何を想おうか・・・

2015年4月26日 (日)

『 ゼロ 』

『月面司令部航空隊』掲載話。

映画『永遠のゼロ』を観て、零戦を平和な空で思いっ切り飛ばせたいと思って出来上がった話。この話は同誌掲載話『地球祭』の続きとなっていて、本当はそちらからUPすれば良いのだけれど・・・
なにせ作文も感想文も苦手てで、いつもどうやって回避すべくか努力していたような私が初めて書いた拙い話なもので、UPするのはとても勇気がいるという事情があってですね・・・

話は、ヤマトがイスカンダルからの航海から帰還して1年後。平和になった地球で開催された地球祭(ミスコンテスト、航空隊によるアクロバット飛行展示etc... )での出来ごとの後日談。
2199の女性クルー・岬百合亜、原田真琴など登場するけれど、航空隊の設定はあくまでも、オリジナル ヤマト! なんて勝手放題な設定なのです。
「ライトノベル」にも満たない「フェザー」いや「フライ」ノベル

でもいいんだもん!妄想なんて楽しんだもの勝ち
なんだかお披露目したくなったんだモン。
もしも面白そうって興味を持って下さったなら、最後までお付き合い頂けると嬉しいです。

 

      『 ゼロ 


抜けるような晴天。白い雲が気持ち良さそうに青空に浮かぶ。そんな爽やかな光景には似つかわしくないような、ふてくされ、うつろな目を車外に向けてシートに身を任せているのは、月面司令部航空隊所属のパイロット、曽我部 玲。

エアカーはメガロポリスを抜け、次第に郊外へと向かって行く。

「玲ちゃん、次のPV(プロモーションビデオ)撮影で終わりだから頑張って!」

(

)

と横に座る、岬 百合亜の励ましの言葉も
(はあ~~ 月に帰りたい…)
と、大きなため息とともに耳半分で聞いている。エアカーの車内にいるのは、後席に玲と百合亜。前席に運転手とカメラマンの男性。機材とスタッフを運ぶ、もう一台のエアカーがその後ろに続く。

何でこんなことに、なっちゃったんだろう…)

事の始まりは、先般の「地球祭」で開催されたミスコンテストであった。玲は、なぜかその審査で観客に大ウケして特別賞を受賞してしまい、それ以来、広報部から活動依頼の打診がひっきりなしに来るようになり、その度

「そんなのまっぴらごめん!」と断り続けていたのだが、

ついに! 『命令』という形で正式に『広報に協力せよ!』との通達が届き、さすがの玲も首を横には振れず、厭々ながら任務を遂行する羽目になってしまったのだった。

月面基地から地球に降り立った途端、インタビューを3本立て続けに受け『くれぐれも愛想良く!』の命令通りに行った結果、疲れ果て、盛大なため息をついて、百合亜になだめられている状況なのだった。


でも!

(ここは!?)

次第に見えてくる懐かしい光景に思わず身を乗り出す玲。着いた先は飛行場。しかも、ひな鳥時代に散々しごかれた懐かしい場所であった。当時、一番世話になった教官が基地司令となっていて、玲の来訪を喜ぶと共に、昔話を持ち出して

「そんな過去の話は、止めて下さい!」と、玲に悲鳴を上げさせるのだった。


簡単な打ち合わせを終え、一行は
滑走路(エプロン)へと向かった。

(

)

)

その一角に置かれたそれは、玲の愛機コスモタイガーⅡと比べると、二周りほど小さな機体。流線型のスマートなスタイルのプロペラ機は、洗練されたレトロな雰囲気の中にも精悍さも併せ持つ。

「これは?」

「零式艦上戦闘機 二一型。通称 零戦と呼ばれた機体だ」

「これが、零戦…」

司令の言葉に目を輝かせ喰い入るように見つめる玲。

「圧倒的な格闘戦性能を誇り、かつて空の王者として君臨し、栄光と落日を共に知る名機。

…もう一度、平和な空を飛ばしてやりたいと、基地の有志が復元させものだ」

と語る司令は、ちょっと悪戯っぽい表情になり

「飛んでみるか?」と玲に問う。

「え!?」感慨深く見つめていた玲の瞳が明るく輝く。

「良かったら当時の飛行服に着替えてみる?」と同行のプロデューサーが声を掛けて来る。

目をキラキラさせて大きく頷いた玲は、数分後、颯爽と登場する。零戦にレトロな飛行服がマッチしてノスタルジック感満点。もうそれだけで絵になる光景であった。
整備クルーから操縦のレクチャーを受ける。
機体が違っても飛ぶ原理に大差はなく、月基地に所属している航空隊員にとって、その操縦も造作のないことであった。

やがてエンジン・ランナップを開始し、離陸準備が整う。

 クリアフォー テイクオフ!               

ふわりと離陸後、いきなり急上昇。大きな宙返りで幾つもの丸を描いてみる。そして、その性能を確かめるように、宙返りの頂点で半ロールを打ち背面になったところで機体を左へと横滑りさせる。フッ と重力が無くなるような浮遊感を暫し楽しむ。まるで、飛行機でダンスを踊っているような軽やかな飛行。翼の先まで喜びに満ち溢れているような機嫌の良さ。

空を自由に舞っていると、後方から鋭いエンジン音が近づいて来た。あっという間に追い抜いて、急上昇をする2機の新鋭機。

「隊長!明くん!!」

「キューピッドいくぞ!曽我部! アロー機よろしく!」

「えええぇぇぇっっ!!」

加藤の突然の通信に面喰らう玲であるが

「ええい!ままよ!」とばかりに力一杯に急上昇!

加藤、山本が2機で描いた大きなハートを、スモークを引きながら、一筋の矢になり射抜く。

その見事な出来栄えに地上では大きな歓声が上がる。

曽我部機は大きくループして急降下。そして地上300フィートで水平飛行に転じる。

風防を開け風を感じる。白いスカーフが軽やかに風になびく。

後方から、加藤、山本の2機が追い付き、新旧の機体が並ぶ。

そのまま、山本からウィンク、加藤は笑顔で追い越して行く。追い越した2機は、じゃれ合うように機体を交差させ、抜けるような青空に飛び去って行った。


青い空の母なる地球はどこまでも美しい。

(この平和な空をいつまでも飛んでいたいな…)

飛行機乗りの喜びを全身に感じながら、玲は飽きることなく飛び続ける 


「あーーーっ
 どっか行っちゃいましたねぇ… 

「おおーーーい!いつまで飛んでんだぁ!?」

って呆れ顔で空を見上げる地上のスタッフ達。

そして、その飛行は黄昏時まで、まだ暫く続くのだった。


                       ・・・END

             
           最後まで読んで下さってありがとうございます。
                                  空の青さを感じて頂けると嬉しいです。

2015年2月 2日 (月)

『2199 隼!航空隊』より

    『 この青空を鳥のように 』
                    


どこまでも続く青い空。幾つかの白い雲が、気持ち良さそうに空に浮かぶ。
太陽に照らされながら連なって翔ぶ、真っ白な機体の飛行機が、二つの影を地上に落とす。
プロペラを元気に回しながら力強く進む機体に曳かれ、長い翼を優美に煌めかせた機が続く。二つの機は40M程のワイヤーロープで繋がれている。その後方機で操縦桿を握る沢村の眼は、何かを探しているようにも見える。

「フック外します!」
「了解。いってらっしゃい」

合図と共に、二機を繋いだロープを切り離す。
身軽になった機体は、翼を煌めかせながら風に乗って空を滑る。沢村は、軽くバンクをかけながら、それを探す。
やがて、ふわぁ~っと緩やかに感じるマイナスG。

「つかまえた!」操縦桿を握る手に思わず力が入る。
「小橋、サーマルだ」
ヤマトでの航海を思い浮かべながら、沢村はそっと呼び掛けた…

 

「グライダー?」

沢村が覗き込んだ小橋のタブレットには、その特徴的な長い翼を持つスマートな機体が表示されていた。
イスカンダルを目指して、未知の星間を航海するヤマト。メ2号作戦も航空隊の活躍によって見事、勝利を収め、昼下がりの談話室に、久しぶりのゆったりとした時間が訪れていた。

「グライダーって、音もなく、空を風に乗りながら鳥のように滑空するんだぜ。地球に還って、空の青さを取り戻したら、グライダーで鳥のように翔んでみたいんだ」
目をキラキラさせながら振り向く小橋。
「でも、グライダーってエンジンなしでよく翔べるよな」沢村は率直な疑問を口にする。
「正確には、滑空。落ちながら翔ぶんだ。でも、空の宝物を探し当てればソアリングしながら、いつまでも翔べるし、ジェット機よりも高い高度にまで行けるんだぜ」
「ソアリング? 宝物?」
「トンビって知ってる?鳥が羽ばたかずに、空でくるくると、ずっと旋回してるのって見たことある?」
沢村はまだ地上で暮らしていた頃の情景を「ああ、あれね!」と思い浮かべてみる。
「空の宝物、サーマル=上昇気流のことだけど、トンビはそれを上手く利用しているんだ。グライダーはそれを掴まえてその上に乗るんだ。上昇気流(サーマル)を掴むことを、ソアリングって言うんだよ」
「成程、でもエンジンもないのに、離陸ってどうするんだ?」
「色々方法はあるけれど、飛行機で牽引して空に上がっていく、飛行機曳航が断然良いよなぁ~」
「面白そうじゃん!その時はオレが曳っぱってやるよ。一緒に翔ぼうぜ!」
「よし!約束だぜ」
お互いの拳と拳を合わせてその日を誓う。

そして、ふと、思い出したように沢村が呟く。
「そう言えば…確かシミュレーションにグライダーの操縦ってあったような気がする」
「え!?ほんと!?」
その日以来、ヒマを見つけてはシミュレーションに嵩じる二人であった。

「おまえ、本当に上昇気流(サーマル)見つけるの上手いよな」敵わないよと呟く沢村に、小橋は「好きこそものの上手なれって言うじゃん。大空を独り占めにして鳥のように翔べるなんて、考えただけでわくわくしてくるよ」と笑顔で答えた…


今、あの時のキラキラした小橋は、いない。

航海中、戦闘の度に減っていった仲間達。七色星団の決戦時、12人もの仲間が散った。小橋もその一人だった。格納庫、ロッカー、控室…仲間がいなくなる度に、ガランと空間が広がるようで、淋しさと虚しさが募った。
いくら腕が良くったって、闘いなんて一瞬の間に戦況は目まぐるしく変わる。運、不運だってある。

(あの時、不安がってたよな。何か嫌な予感でもあったのか?)
小橋に問うてみたくもなる。科学的にと言われると証明する事は難しいが、人間の第六感は、かなり鋭いものがある。そんな時は、大方にして精神的に不安定でもある。心に不安があると、注意力が散漫になるし、時として思い掛けない行動に出てしまうこともある。

(有視界戦闘なんて、お互いキツかったよな)
航空隊員は、必ず勝って還る決意で出撃するが、同時にその時の覚悟も、いつだって出来ている。理解は出来ているんだ。
でも、いくらメンタルトレーニングを受けていても悲しいものは悲しいんだと、激しかったあの戦闘を思い出す。心に蓋をして見えなくしても、いつの間にか悲しみは溢れてしまう。心に正直に、泣ける時に泣いた方が良いって誰かが言っていた。逝ってしまった仲間達の想いを背負って、歯を食いしばりながらイスカンダルを目指した航海が、今は懐かしい。

掴まえた上昇気流(サーマル)に乗って、ゆっくり旋回しながら、グライダーは大空へと舞い上がって行く。

「小橋…」

万感の想いを込めて、沢村がその名を呼ぶ。
「おまえと翔びたかったよ」
聞こえるのは、ただ風の音だけ。引き込まれる程の青空に向かって、そっと呟いた。

「いつかまた、大空で会おうな」

《うん。またね》
明るい声が風に乗って聞こえたような気がした。

「小橋?」

包み込まれる優しい気配の中で、空の向こうに小橋の明るい笑顔が見えたような気がした。
長い翼をいっぱいに広げ、グライダーは青い空を独り占めするかのように、いつまでも翔び続けた。
上昇気流(サーマル)に乗って、白い大きな翼の鳥のように…
              

                                      ・・・END

   1

まみさんが、このお話をイメージして、こんなにも素敵な絵を描いて下さいました

航空隊員は、一度出撃すると、己の腕一本に生命をかけて全力で闘うのです。
皆、生きて地球に還って欲しかった。
素敵な笑顔で「青い地球の平和な空を鳥のように自由に飛びたい」と語る二人の夢を叶えて欲しかった。
この気持ちを小橋くんに捧げるとともに、

まみさんに心からの感謝の気持ちを贈りたいと思います。
本当にありがとうございました。

                            akira

2015年1月11日 (日)

『…の 独り言』

スターフリート☆ベガ、冬コミ新刊『次元航路復活篇DC版』に寄稿した妄想話。
生粋の大阪っ子に監修頂きました~

猫だってつぶやくのだから、彼だって…

 

     『 ・・・の 独り言 』

                            

わいは、ロッカーや。ただのロッカーやあらへんで。
16万8千光年先、未知のイスカンダル目指して飛び立った、あの 《宇宙戦艦ヤマト》のロッカーや。
配属先を聞いた時、誇らしゅうて胸が高鳴って、その晩は、よー眠れんかったわ。
しかも!華の航空隊やで!わい!
ここ、航空隊の控室も兼ねてんやけど、なかなかなドラマも見れるねんで~ 
あの時かて…
隊長が主計科の女の子と二人っきりで話しててな( お♪ 隊長やるやん)って思とったら、いきなりあれやで!

わいにパンチですかい!?

隊長!何すんねん!痛いやないですかぃ!隊を任されたお人やろ?物は大事にせなあかんやろ?
学校で先生に習わへんかったんかいな?主計科の仕事増やさんとってや!
ちゅうて力一杯抗議したかて、わいの声は聞こえへんみたいや…

なんで、わいが航空隊に配属されたんか分かったような気がした時やったわ。
頑丈さは折り紙付きやし、ちっとやそっとではへこたれへんし。
せやけど、いきなりドアが閉まらん程に、ぼこられるとは思わへんかったわ…
皆、苛ついてくると、ますますわいが恰好の餌食になってまう。
ホンマ!分かったから、お手柔らかに頼んますわ~

うおぉぉ!

お、お嬢まで… そないに蹴らんといてや~わい凸凹でんがな…
あかんで!女の子は可愛らしゅうせな勿体無いで!
とか言うたら、余計にぼこられそうや。
しゃーない。傷付いた乙女心は、わいが、がっしと受け止めるさかい元気出しや~

そやけど、わい、もうかなり凸凹やで…
わいの、ないーぶな心まで凹みそうや。

おおお♡

しのさん、いつもおおきにな。あんさんだけでっせ。わいを大切にしてくれるんは。
器用に直してくれはって、やっと元の男前に戻れるっちゅうもんや。これでまた、元気に頑張れるっちゅうもんよ!

あ?

わいの中身?気になる?
そんなん守秘義務っちゅうもんやで~言われへんな~ 
ああ?そないなこと言わんとやて?
ん~~ ほな、ちょっとだけやで~ほんま内緒やで。

大抵、皆はん写真を入れとるなぁ~
家族写真が一番多いんやけど、可愛い子ちゃんの写真も、ぎょーさんあるな~彼女かいな?
隠し撮りみたいなんもあるから、皆が彼女って訳でも無さそうやけどな。
結構、べっぴんさんの写真もあるで~
わいが一等気に入っとるんは、クロネコの可愛い子ちゃんや。
いやぁ、あのポーズときたら堪らん可愛さやで。わいの嫁はんにしたい程や。隣のデカイ奴は、ちょっと邪魔やがな。
せやけど、なんちゅう幸せそうな顔して写っとるんや。わい、妬けてしまうがな~

ん?他?
そやな~

あ、あかんあかん!
人のプライベートをこれ以上晒すわけには、いかへんで。何よりこれは、わいの密かな楽しみでもあるんやからな~

せやけど、楽しいばかりでもあらへんで。
出撃して、還って来れんかった仲間の荷物をまとめる時、隊長は声も出さんと男泣きに肩を震わせるんや。
隊を預かる立場として辛い役目やと思う。こんな時は、流石にわいも辛いわ…
持ち主の思い出が走馬灯のように浮かんでくるわ…

祈ったるから、必ず!皆!無事に還って来たってや!!
青い地球を見に帰ろな!

げ!?

おせんちに浸ってるヒマはないみたいや。
沢村が超不機嫌そうな顔して、こっちに来おった…

こら!!止めんかい!
わいを大切にしろって 《張り紙》 あるやろ?
あんさん、字読めへんのかいなーーーーーっ!!

                             ・・・END

2014年12月29日 (月)

冬コミ御礼

盛大なる冬祭り無事、出店終了となりました。
今回の新刊を大勢の方が手にして下さり、ご予約分を含めて75人もの方にご購入頂くことが出来ました。こんなにもたくさんの方に買って頂けると思っていなかったので、驚きとともに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました
これも、ゲスト様の美麗イラストのお力だと思っています。

年が明けましたら、別紙寄稿の文をUP出来ればと考えています。
もしも、興味ありましたらご覧下さいネ

2014年11月30日 (日)

冬コミ 新刊♪


『 2199 隼!航空隊 』
再録7話+書き下ろし2話、豪華ゲスト(ユミタユミタ(ヤリ)様、DARTS様、mami様)の美麗イラストからなる 2199航空隊 中心の「うすい本」

  12/28(日)  東パ32a 『えぞすた』様隅っこにて  A5 / 36P / 400円 販売です

   数量限定で、真琴ちゃん&百合亜ちゃんのカードをプレゼント~

     ★ ユミタユミタさんにて通販開始!
        http://009191.cocolog-nifty.com/blog/#_ga=1.230980762.483760996.1417362222
            

2014年11月27日 (木)

Blue Moon

青く見える月 Blue Moon。 その言葉には神秘的な響きも・・・・
火山の噴火や隕石の落下時に発生する大気中のガスや塵の影響などによって、極めて希だけれど、月が青く見えることがあるそう。
また、
ひと月に2回巡って来る満月のことを、そう呼ぶことも。
青い月を見ることは大変難しいことなので、 『once in a blue moon』滅多とない、極めて希な、等の意味で使われる慣用句になったそう。
昔は、不吉なことの前兆のように云われたが、今では「ブルームーンを見ると幸せになれる」と云われている。

このサイト、アドレス名の如く更新が極めて稀!?
冬の陣が終わったら、少しずつ充実させてみようかな~
まずは、近日中に新刊情報をUPしたいな~って思っている今日この頃なのです

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